プログラミング教育を検討するとSTEM教育との関連を確認する必要がある
日本は最低レベル──世界で進む「STEM教育」の重要性
こんなたいとるで、NewsWeekでも取り上げられています。
「STEM(ステム)教育」とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Math(数学)の略で、これからの社会で最も成長が著しい分野として人材育成が急務となっている分野のことです。
何は今までの教育とは違うのか?
日本では各場面で顕著な縦割りです。従来の学校カリキュラムでは算数の時間は算数だけ、
理科の時間は理科だけというように縦割りの教科しか学ぶことができませんでした。時間割に教科が当てはめられているからですね
STEM教育最大の利点は、社会で必要とされる実用的な技能を、教科の枠を越えて横断的に学習できることです。
STEM教育は、時に「理系科目やプログラミング教育を重視する教育」と解釈されることもあります。
現に幾つかのサイトをご覧ください。STEM教育と調べると、プログラミング教室の宣伝になっていることが多々あります。
しかし、STEM教育が真に目指しているのは科学技術と創造力、問題解決力の結びつきを強めることで次世代を担う子どもたちの「生きる力」を育てる総合教育。
科学・算数などの分野のみならず、国語・社会・道徳などの知識を組み合わせて課題解決・アイデア創造に取り組む訓練が重要です。
アメリカは、STEM教育の発祥の地であり、既にオバマ政権においてSTEM教育は科学分野で世界を牽引するための国家戦略とされ、多額の国家予算が投じられました。
一方の日本は、中央教育審議会答申(令和3年1月26日)において、
「文系・理系といった枠にとらわれず,各教科等の学びを基盤としつつ,様々な情報を活用しながらそれを統合し,課題の発見・解決や社会的な価値の創造に
結びつけていく資質・能力の育成が求められている」
として、横断的、統合的な学びに連携についてやっと気付きました、という状況のようにみえます。なんと遅いことか。
以下、出典:中央教育審議会答申(令和3年1月26日)
「STEAM教育―アート、リベラルアーツ、文理の枠を超えた学び- 初期のSTEAM教育は、統合型STEM教育にArts(デザイン、感性等)の要素を加えたものと解釈できる。Yakman(2008)では、STEAM教育は学問領域を横断して指導する枠組みであると示している。
また、STEAM教育は、エンジニアリングとアーツ(言語や歴史などを含む文科)を通して解釈される科学と技術であり、すべては数学的な要素に基づくものであるとする。
近年は、現実社会の問題を創造的に解決する学習を進める上で、あらゆる問いを立てるために、Liberal Arts(A)の考え方に基づいて、自由に考えるための手段を含む
美術、音楽、文学、歴史に関わる学習などを取り入れるなどSTEM教育を広く横断的に推進していく教育(東京学芸大学 大谷 忠氏より)。
取り扱う社会的課題によって、S・T・E・Mを幹にして、 ART/DESIGNやROBOTICS、E-STEM(環境)など様々な領域を含んだ派生形が存在し、
さらには国語や社会に関する 課題もあり、いわゆる文系、理系の枠を超えた学びとなっている(日本STEM教育学会 新井 健一氏より)。」
再度定義したのか、やっと理解したのでここに記載したのか定かではないものの、ひとこと遅い、って感じています。
とにかく、現在の世界の議論としては、
覚えておくべきは、、、STEAM(スティーム)
STEAM = Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Math(数学)+Arts(デザイン、感性等)
この言葉だけ頭の片隅に置いてください。
出典:中央教育審議会答申(令和3年1月26日)
「STEAM教育は「各教科での学習を実社会での問題発見・解決にいかしていくための教科横断的な教育」とされている。
STEAM教育については,国際的に見ても,各国で定義が様々であり,STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)に加わった
Aの範囲をつまり、デザインや感性などと狭く捉えるものや,芸術,文化,生 活,経済,法律,政治,倫理等を含めた広い範囲で定義するものもある。
STEAM教育の目的には,人材育成の側面と,STEAMを構成する各分野が複雑に関係する現代社会に生きる市民の育成の側面がある。
各教科等の知識・技能等を活用することを通じた問題解決を行うものであることから,課題の選択や進め方によっては生徒の強力な学ぶ動機付けにもなる。
一方で,STEAM教育を推進する上では,多様な生徒の実態を踏まえる必要がある。
科学技術分野に特化した人材育成の側面のみに着目してSTEAM教育を推進すると,例えば,学習に困難を抱える生徒が在籍する学校においては
実施することが難しい場合も考えられ, 学校間の格差を拡大する可能性が懸念される。
教科等横断的な学習を充実することは学習意欲に課題のある生徒たちにこそ非常に重要であり,生徒の能力や関心に応じたSTEAM教育を推進する必要がある。
このためSTEAMの各分野が複雑に関係する現代社会に生きる市民として必要となる資質・能力の育成を志向 するSTEAM教育の側面に着目し,
STEAMのAの範囲を芸術,文化のみならず,生活,経済,法律,政治,倫理等を含めた広い範囲(Liberal Arts) で定義し,推進することが重要である。」
できる子と、できない子を格差を付けないように配慮が必要だといっています。それは正しいです。全員のレベルを底上げすることは賛成です。
しかし一方で、ある特殊な技能をもった一部の人が抜きん出ることは何ら問題ないことです。
平等に教育の機会を与えることと、その結果で生じる格差は、ある程度は受容するべきと考えます。
(じゃなきゃ、オリンピック選手なんて不要で全員同じ演技や競技ができればいい、ということになってしまいます)
生活,経済,法律,政治,倫理等を含めた広い範囲を含めて考ることが必要との認識でした。
ある意味正しい、しかし、そのために各国からの遅れが大きくなり、差がついていくことが望ましいとは思えないです。
学校のカリキュラムの中で横断的な思考を求めてきているのが「プログラミング教育」が近いことがわかりました。
そのため上述したように、そこからSTEAM教育と結びつけている教育機関があるということでしょう。
前掲の「小学生のプログラミング教育、どうします?」については、以下でリンクしております。
これまでの内容を踏まえ、今、旬のプログラミング関連スクールについてまとめました。お子さまのために、お孫さまのために、是非検討ください。