Baby 子育て

保育所保育指針が保育所の保育指針。パパ・ママ、知らなくていいんですか?(乳児編)

2022年8月23日

保育所保育指針タイトル

平成30年2月に厚生労働省が出している「保育所保育指針解説」は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定めて解説しているものでこの年の版が現在の最新版です。

保育所保育指針は、乳幼児を育てるママさん・パパさんにとっては、保育所保育の基本となる考え方保育のねらい及び内容など保育の実施について定めたものとして内容を理科して日々の子育てに役立てていただきたいとの想いからポイントをまとめました。

保育所への入所をされない方も多くいらっしゃるので、どのような方針で運営が進められているかを理解することにも意味があると考えています。

目的と読者の想定について

保育所に預けるパパちママに保育園の保育士等の方々がどのような指針で行動しているのかを理解してもらうこと

保育所に預けないパパとママは、乳児期にどのような行動指針で子育てをするべきかを厚生労働省がどのように考えているかを理解して各自の子育てにお役立ていただくこと

出典は、厚生労働省「保育所保育指針解説」平成 30 年2月 発行 より抜粋したものであり、意味が伝わりにくい役所文書を少し手直しして記載し、記事を書いた筆者によって感想や意見を付け加えている部分があります。正式にはリンク先の原文をご覧ください。

「保育所保育指針」について

子育てに関わる社会の状況

子育てに関わる社会の状況については、少子化や核家族化、地域のつながりが薄くなり、共働き家庭の増加を背景にして、様々な課題が見えてきました。

公園デビューなどの場はあるもの、子どもが地域の中で人々に見守られながら遊ぶという自生的な育ちが難しくなってきています。

乳幼児と触れ合う経験が乏しいまま親になる人も増え、自身の両親以外に、近所のおばさんなど、身近な人々から子育てに対する協力や助言を得られにくい状況に置かれている家庭も多い。

その代替として、SNSでの多くの先輩ママさんなどが発信をして上記の不足している面を補う役割を果たしている。

「保育所保育指針」とは?

保育所保育指針は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和 23年厚生省令第 63 号。以下「設備運営基準」という。)第 35 条の規定に基づき、保育所における保育の内容に関する事項及びこれに関連する運営に関する事項を定めるものである。

発達による変化が著しい乳幼児期の子どもが長期にわたって在籍することを踏まえ、乳児1歳以上3歳未満児3歳以上児に分けて示されています。

乳児保育に関わるねらい及び内容

基本的事項

(1)乳児期の発達については、視覚、聴覚などの感覚や、座る、はう、歩くなどの運動機能が著しく発達し、特定の大人とのやり取りや関わりを通じて、情緒的な 絆(きずな)が形成されるといった特徴がある。乳児保育は、愛情豊かに、やり取りや関わりを行われることが特に必要である。
(2)乳児保育の「ねらい」及び「内容」については、身体的発達に関する視点「健やかに伸び伸びと育つ」、社会的発達に関する視点「身近な人と気持ちが通じ合う」及び精神的発達に関する視点「身近なものと関わり感性が育つ」として以降の各章でまとめています。

テキストのサマリー

身体的発達に関する視点「健やかに伸び伸びと育つ」

ねらい

  • 身体感覚が育ち、快適な環境に心地よさを感じる。
  • 伸び伸びと体を動かし、はう、歩くなどの運動をしようとする。
  • 食事、睡眠等の生活のリズムの感覚が芽生える。

乳児は最初、自分自身と外界の区別についての意識が混沌としています。自分自身なの?これは自分の一部ではないの?ってことが区別がついていないんです。

そこで、身近なモノやヒトとの関わりを通して自分の身体の感覚を理解していきます。

例えば、機嫌よく目覚めている時、自らの手をかざして眺めたりして手を発見する。

その手で周囲を探索して、人やものの感触の違いを感覚的に理解する。

さらに、抱き上げて優しく言葉をかけられたり、清潔で肌触りのよい寝具や衣類に触れたりした時に、心身両面の快適さを感じ、満足感を得る。

身体の諸感覚が育つ中で、子どもが自分の働きかけを通して心地よい環境を味わう経験を重ねることが重要である。

こうした生活の中で、周りの人やものに触ってみたい、関わってみたいという気持ちが膨らみ、子どもは対象に向かって盛んに自分の体を動かそうとする。

周囲の人(ママ、パパ、保育士など)に気付いて手足をばたつかせたり、興味を引かれたものをつかもうと懸命に体を起こそうとしたりして、体を動かすことを楽しみながら、周囲の人の温かいまなざしや身体の発育に支えられ、次第に行動範囲を広げていく。

安心して伸び伸びと動ける環境は、探索への意欲を高め、心身の両面を十分に働かせる生活をつくり出す。

また、この時期の生理的な欲求が、周囲の人による愛情豊かな応答とともにほどよく満たされる生活は、子どもに安心感と充足感をもたらす。

眠い時に寝て、空腹の時にミルクを飲ませてもらう。空腹が満たされて周囲に働きかければ、それに相手をしてもらう。

日常生活におけるこの心地よい繰り返しが、生活のリズムの感覚を身に付けていきます。

テキストのサマリー

内容

  1. 周囲の人(ママ、パパ、保育士など)から愛情豊かに受け入れてもらい、生理的・心理的欲求を満たし、心地よく生活する

乳児の初めの頃、欲求は、そのほとんどが生きていくための基本的な欲求、すなわち生理的欲求(生きていくために必要な基本的・本能的な欲求)です。

この生理的な欲求が、ほどよく満たされることがまずは一番重要です。

しかし、健康で安全な生活をつくり出す力の基盤を身に付けてもらうには、例えば、食欲が満たされるだけでは不十分です。

周囲の人(ママ、パパ、保育士など)に不快な状態を空腹と勘付いてもらい、子ども自身のペースがほどよく尊重されながらタイミングよく温かい言葉とともに食べさせたり飲ませたりしてもらって、お腹が満たされ心地よくなっていく経験を重ねることで、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)に対する信頼感が育つ。

こうした周囲の人(ママ、パパ、保育士など)との関わり方は、食事だけではなく、他の生理的な欲求に対しても同様です。

周囲の人(ママ、パパ、保育士など)には、子どもを独立した人格をもつ存在として受け止め、子どもに対して信頼と思いやりをもって応答することが求められます。

こうした関わりの延長線上に、子どもの人と関わりたい、認めてほしいといった心理的欲求が育ちます。

テキストのサマリー

2. 一人一人の発育に応じて、はう、立つ、歩くなど、十分に体を動かす

この時期の子どもの発達は、個人差が大きい。

そして、心身の発達は別々ではなく、お互いに影響し合いながら発達していきます。

例えば、座ることが可能になった子どもは、周囲に注意や興味を引かれるものやおもちゃがあれば、それに引き寄せられるようにして手を伸ばし、引いたり、転がしたり、なめたりして遊び出します。

その注意や興味の対象となるものが、手を伸ばしても届かないところにある時、手に入れようとガンバルうちに、はって近づき、手に入れるという経験が生まれます。

それは、自分の体が動く感覚求めたものが手に入る経験とが、同時に起こるということになります。

このように周囲の人(ママ、パパ、保育士など)が一人一人の子どもの発達過程を踏まえ、遊びの内容を考えてあげることで、子どもは遊びの中で、はう、立つ、歩くなど体を動かすことの楽しさを経験します。

こうした経験を温かい目で見られて重ねていくために、十分に体を動かすことのできる空間を確保するとともに、子どもの個人差や興味、関心に沿った部屋の環境を整えることが重要です。

テキストのサマリー

3. 個人差に応じて授乳を行い、離乳を進めていく中で、様々な食品に少しずつ慣れ、食べることを楽しむ

この時期の子どもの生活は、それぞれの生理的なリズムに従って進んでいきます。

個々の子どもの食事に対する欲求を受け入れながら、子どもに合わせてゆったりとした環境の中で授乳を行うなど、生理的な欲求が一人一人に応じて満たされることは、子どもに安心感をもたらします。

離乳の開始は、それぞれの家庭の状況や発育状況を考慮して慎重に取り組むことになります。

その上で、離乳食を提供する際も、子どものペースや食事への向かい方を尊重し、落ち着いた環境の下、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)も子どもと一緒に食事を味わうような気持ちで関わることが大切です。

初めて口にする食品を提供する際には、そのおいしさが経験できるよう気持ちを添えた言葉をかける

苦手そうな味や食品に関しては、形や食べる順番を変えてみるなど工夫するとともに、食事の時間が子どもにとって楽しいものとなるよう心がけることが重要です。

テキストのサマリー

4. 一人一人の生活のリズムに応じて、安全な環境の下で十分にお昼寝する

この時期の子どもの生活は、一人一人の生理的なリズムが尊重され十分に寝てよく飲み食べ、そして目が覚めたらしっかりと遊んで、起きている時間が充実したものとなることが重要です。

お昼寝の時間には個人差があることから、静かで安心して眠れる場所が必要になります。おウチの中でも温度管理と静音には気を遣っていらっしゃると思います。

睡眠中の安全には、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)が細心の注意を払わなくてはなりません。

生理的なリズムが重視され、しっかりと寝て起きた子どもの情緒は安定します。

安定した情緒は、子どもの動き回る活動を活発にします

活発に動き回ることは意識をよりはっきりさせ、目覚めている時間を長くします。

よく動き遊んだ子どもは、ほどよい空腹を感じる

これに周囲の人(ママ、パパ、保育士など)が関わりながら提供される食事の時間は、食事への意欲を高めます。

楽しい食事の時間を過ごして、お腹が満ち足りてくると、その心地よさは子どもを眠りに誘う。

5. おむつ交換や衣服の着脱などを通じて、清潔になることの心地よさを感じる

清潔になる心地よさは、経験を通して学習されるものです。

おむつが濡れているのを感じている時に、「気持ち悪いね」という気持ちの伴った言葉がけとともにおむつを交換してもらい、その結果、濡れていた時とは異なる乾いてさらさらした感覚を「さっぱりしたね」という気持ちの伴った言葉とともに経験することが大切。

この経験が毎日何度も繰り返されることで、清潔に対する心地よさの感覚が育っていきます。

衣服の着脱や食事時に手や顔を拭いてもらうといった経験も、同様です。

心を込めて丁寧に対応され心地よさを味わう経験は、他者に自分自身の存在を肯定される経験で、子どもが自身の存在を肯定的に受け入れることにつながります。

社会的発達に関する視点「身近な人と気持ちが通じ合う」

ねらい

  • 安心できる関係の下で、身近な人と共に過ごす喜びを感じる。
  • 体の動きや表情、発声等により、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)と気持ちを通わせようとする。
  • 身近な人と親しみ、関わりを深め、愛情や信頼感が芽生える。

社会の中で生きていく人間として、子どもの発達において特に大切なのは、人との関わりです。

乳児期において、子どもは身近にいる周囲の人(ママ、パパ、保育士など)による愛情豊かで受け入れ反応を示す態度を通して相手との間に愛着関係を形成し、これを拠りどころとして、人に対する基本的信頼感を備えていきます

また自分が、かけがえのない存在であり、周囲の大人から愛され、受け入れられ、認められていることを実感し、自己肯定感を育んでいきます。

さらに、安心できる安定した関係の下で、自分の気持ちを相手に表現しようとする意欲が生まれます。

こうした育ちは、生涯にわたって重要な、人と関わり合いながら生きていくための力の基盤となるものです。

身近な人とそうでない人が区別できるようになってくると、子どもは、普段自分のそばにいて関わってくれる人を安心、信頼できる存在と感じ、その人にあやしてもらったり、自分の声や動きに優しく応えてもらってやり取りをしたりすることをとても楽しみます。

愛着の対象である周囲の人(ママ、パパ、保育士など)が視界の範囲内にいることで子どもの情緒は安定し、そうした相手と関わりながら共に過ごすことに喜びを感じるんです。

そして、自分の思いや欲求を伝えようと、相手に向かって手を伸ばしながら声をあげたり、顔を見て笑いかけたりと、体の動きや表情、声や喃(なん)語<喃語は、赤ちゃんが発する「アーウー」「バ・バ・バ」というような音のこと>等で働きかけるようになります。

それに対して、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)が反応して触れ合ったり、言葉を添えて関わったりすることで、子どもは次第に相手の言っていることを理解するようになり、自分も言葉で伝えようとする意欲を高めていきます。

このように日々の温かく丁寧な触れ合いを重ねる中で、子どもは身近な周囲の人(ママ、パパ、保育士など)に親しみをもち、より気持ちを通わせ、関わりを深めることを求める。

こうして乳児期に周囲の人(ママ、パパ、保育士など)との間に芽生えた愛情や信頼感が、子どもが周囲の大人や他の子どもへと関心を抱き、人との関わりの世界を次第に広げていく上での基盤となります。

内容

  1. 子どもからの働きかけを踏まえた、応答的な触れ合いや言葉がけによって、欲求が満たされ、安定感をもって過ごす

誕生間もない子どもは、人の声に最もよく反応し、話しかける大人の顔をじっと見つめるようになります。

こうした子どもの姿に応え、ゆったりと笑顔で働きかけたり触れ合ったり子どもの声や行為に言葉を添えていくことで、子どもは自分の欲求を泣き声で表したり、感情を込めて様々な泣き
方をするようになります。

周囲の人(ママ、パパ、保育士など)は、こういった子どもの声や表情、体の動きなどから、子どもの欲求を汲み取り、タイミングよく応えていくことが大切です。

子どもは、自分のしてほしいことが受け止められ、心地よくかなえられると安心します。

欲求をかなえてくれた人に対する信頼感も育まれます。

また、特にスキンシップは心の安定につながります。

肌の触れ合いの温かさや心地よさを実感すると、子どもは自ら手を伸ばし、スキンシップを求めるようになる。

こうした温かなやり取りを周囲の人(ママ、パパ、保育士など)と積み重ねることによって、子どもは安定感をもって過ごすことができるようになる。

幼児がママの指を握りしめている

2. 体の動きや表情、発声、喃(なん)語等を優しく受け止めてもらい、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)とのやり取りを楽しむ。

首がすわり、手足の動きが活発になると、子どもは対面で相手をしてくれる周囲の人(ママ、パパ、保育士など)に対して、目を見つめて微笑んだり手足をバタバタと動かしたり、声を出したりするようになります。

また、自分の意思や欲求を、声や喃(なん)語、身振りなどで、伝えようとするようにもなる。

周囲の人(ママ、パパ、保育士など)は、こうした声や動き、表情などから、子どもの気持ちを理解し、十分に受け止めながら、反応を示すことが重要です。

子どもの微笑みに目を合わせて優しく微笑み返したり、喃(なん)語の語りかけに表情豊かに言葉で返すなど、丁寧に子どもの心を受け止めることが大切です。

こうした周囲の人(ママ、パパ、保育士など)の関わりによって、子どもは大人の声ややり取りを心地よいものと感じるようになる

次第に、声や表情での感情表現も豊かになり、積極的に周囲の人(ママ、パパ、保育士など)との関わりを求めるようにもなる。

また、このような保育士等とのやり取りの心地よさが、人に対する基本的信頼感の育ちにもつながり、コミュニケーションの土台となる。

3. 生活や遊びの中で、自分の身近な人の存在に気付き、親しみの気持ちを表す。

子どもは、6か月頃には身近な人の顔が分かるようになり、あやしてもらうと喜んだり、声を出して笑いかけたりするようになる。

愛情を込めて受け入れてくれる大人とのやり取りをとても楽しむようになり、そうした大人との間に形成された愛着関係が更に強まっていきます。

子どもは、この 絆きずなを拠りどころとして、徐々に周囲の大人に働きかけていくようになる。

一方で、特定の大人との愛着関係が育まれている現れとして、初めて会った人や知らない人に対して泣くなど、人見知りをするようになる。

また、子どもは周囲の人(ママ、パパ、保育士など)との安定した関係を基盤にして、次第に他の子どもに対しても関心をもつようになる

乳児同士であっても、自分とよく似た子どもの存在を認め、表情をマネしたり、はって追ったりするなど、互いに興味を示す姿が見られるようになります。

同じ物を見つめたり、同じおもちゃを手にしたりするなど、物を通したやり取りも見られるようになり、そうした際に周囲の人(ママ、パパ、保育士など)が声をかけて仲立ちをすることで、その後の子ども同士の関わり合いの育ちへとつながっていきます。

幼児がママとおもちゃで遊んでいる

4. 周囲の人(ママ、パパ、保育士など)による語りかけや歌いかけ、発声や喃(なん)語等への応答を通じて、言葉の理解や発語の意欲が育つ。

子どもは、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)の優しい語りかけやゆったりとした歌いかけに、心地よさを感じます。

また、保育士等が、子どもの言葉にならない思いや欲求を発声や喃(なん)語などから理解しようと努め、それを自身の言葉に置き換えながら対応することで、子どもは自分の思いが受け止められる喜びと安心感、そして優しい言葉が返ってくるやり取りの心地よさを感じるようになります。

このような体験を重ねる中で、子どもは周囲の人(ママ、パパ、保育士など)に信頼感をもつようになり、伝えたい、理解してもらいたいという、表現することへの意欲を高めていきます。

同時に、言葉にならない思いの意味言葉の音声とがつながりをもち言葉を理解することにもつながっていく。

また、子どもは、反応を示そうとしてくれる周囲の人(ママ、パパ、保育士など)に「ほら、見てごらん」と気を引かれて同じものを見つめ、一緒に感じる経験を経て、9か月頃になると自身も盛んに指差しをするようになります。

自分の欲求や気付いたことを周囲の人(ママ、パパ、保育士など)に伝えようと指し示したりしながら、興味や関心を一緒に感じるようになります。

周囲の人(ママ、パパ、保育士など)がそのものの名前や、求めいてることの意味を伝えることで、子どもは徐々にそれらを理解するようになり、それが子どもの言葉となるんです。

こんな風に、身近な大人と感覚や感情を一緒ん感じる経験を重ねることは、言葉の理解や子ども自身の言葉を発したいという意欲を育んでいくことにつながっていきます

5. 温かく、受容的な関わりを通じて、自分を肯定する気持ちが芽生える。

自分を肯定する気持ちは、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)が子ども一人一人を尊重し、温かい雰囲気の中で、その思いや欲求をありのままに受け止めるという関わりを重ねることで、子どもの中に生まれてきます。

それと同時に、子どもと周囲の人(ママ、パパ、保育士など)との間に情緒的な 絆(きずな)が形成され、基本的信頼感も育まれていきます。

またその過程で、子どもは自分がかけがえのない存在であることを感じ取り、愛されていることを実感するようにもなる。

このように自分の存在を無条件に認めてもらえる、またうまくいかない場合も支えてもらえるといった安心できる関係の中でこそ、子どもは自己を十分に発揮し、自信を育むことができます。

乳児期において、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)による受け入れる態度で反応をちゃんと返してあげるという関わりを通して生れ、育まれていく自分を肯定する気持ちは、生涯にわたって人との関わりの中で生きていく力の基盤となるものです。

精神的発達に関する視点「身近なものと関わり感性が育つ」

ねらい

  • 身の回りのものに親しみ、様々なものに興味や関心をもつ。
  • 見る、触れる、探索するなど、身近な環境に自分から関わろうとする。
  • 身体の諸感覚による認識が豊かになり、表情や手足、体の動き等で表現する。

子どもは、自分を取り巻く環境にその体を通して触れ、様々な外界の刺激を感じ取ります。

周囲の人(ママ、パパ、保育士など)との安定した関係を拠りどころに、そうした刺激を驚きや喜びをもって受け止め、更にいろいろなものに触れたり関わったりすることへの興味や好奇心を高めていくんですね。

同時に、自分が感じ取り受け止めたことを表情や声など体全体を使って表し、それに対する周囲の人(ママ、パパ、保育士など)からの共感を示すようにすることで、他者に自分の思いを伝えたい、表したいという気持ちも膨らんでいきます。

これらは、子どもが環境との豊かな関わり合いを通して、自分の生きる世界を広げたり深めたりしていく上での基盤となるものである。

乳児期は、身近な人やものとの直接的な関わりを通して、その意味や性質、特徴などを感覚によって捉えている時期です。

眺めたり、触ったり、なめたりと様々に試しながら対象に親しみ、満足感や面白さを味わって、更に周囲への興味や関心を高める。

また、子どもは何かをじっと見つめたり、手にしたものを何度もあれこれと試してみたりする中で、その変化や反応する様子から、自分と環境の関係にも感覚的に気付いていきます。

そして、そうした様子に不思議さや楽しさ等を感じ、更に自分から関わろうとする意欲が育まれていく。

こうして体の諸感覚を十分に働かせながら遊び込む経験を重ねて、子どもの認識する世界は豊かさを増していく。その過程に周囲の人(ママ、パパ、保育士など)が寄り添い、「きれいだね」「なんだろう、不思議だね」と子どもが捉えたものを一緒に受け止め、意味付けをしてあげる。

このように自分の感じ取ったものを身近な人と共有する喜びと体の育ちに支えられて、子どもが自ら思いを表現しようとする意欲と力も身に付いていくものなんです。

内容

  1. 身近な生活用具、玩具や絵本などが用意された中で、身の回りのものに対する興味や好奇心をもつ。

身の回りの環境に対する子どもの興味や好奇心は、子どもの生活を豊かにし、この時期の心身の発達を促しています。

例えば、手の届くところに興味を引くおもちゃなどがあると、子どもはそれを目指してはって行ったり伝い歩きをしたりして近づき、つかもうとする。

そして手に入ると、それを振ったり、床に打ちつけたり、手から離れて転がっていくのを追いかけるなどして、物との新しい関わりを発見し、さらにそこで偶然生じた音や形の変化などに驚いたり、面白さを感じたりして、次はこうしてみよう、こうしたらどうなるだろうと、その子どもなりの遊びを発展させていく。自分で興味の世界を広げようとする行動に出るのですね。

また、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)に絵本を読んでもらっている時知っているものの絵を見付け、指差してその喜びを周囲の人(ママ、パパ、保育士など)に伝える

また、気に入ったページを何度もめくって前後の展開を繰り返し楽しんだり、語りの声の調子やフレーズに耳を傾け、その音の響きやリズムに合わせて体を揺らしたり自分も声を出したりする。

そうした子どもの様子に、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)も温かく応え、その味わっている世界を一緒に感じるようにする。

このように、いろいろな感覚を使いながらものを介して身近な人と心を通い合わせる経験が、更に身の回りの様々な環境への興味や好奇心をますます大きなものにしていく上での支えにもなります。

このように、子どもの主体性を尊重した生活や遊びは、子どもが身近なものに興味をもち、自らで行動しようとする意欲を育て、同時に、人との関わりの力や体のいろいろな感覚も育てているということを理解しておく必要があります。

幼児が外で草を触って一人遊びする

2. 生活や遊びの中で様々なものに触れ、音、形、色、手触りなどに気付き、感覚の働きを豊かにする。

子どもは、例えば雨の音、風に揺れる木々の音や動き、天井に映る光と影、虫の声など、自然現象をはじめとして子ども自身の感覚を刺激する有形無形の様々なものや事象に囲まれて生活しています。

心が安定し、静かで落ち着いた環境の下では、子どもたちはわずかな音やささやかな動きであっても敏感にそれらに気付き、何かを感じて周囲の人(ママ、パパ、保育士など)に知らせます。

これらの発見に、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)が一緒に感じてあげて、応え、そこにはどのような意味があるのかを付け加えることで、子どもの細やかで敏感な感性が育ちます

子どもは感じ取ったものを周囲の人(ママ、パパ、保育士など)と一緒に味わうことで、その美しさや不思議さ、魅力に気が付いていきます。

日々の生活の中でこうした経験が蓄積されていった先に、子どもの豊かな情感は育ち、更に周囲のいろいろなものや事象に気付いていくようになります。

そして、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)と一緒に、あるいは自分自身がそれらに浸ることで、身近な環境に目を留め、心をひかれ、愛おしんだり慈しんだりする気持ちが育っていきます。

家庭や保育所などの生活や遊びを繰り広げる中で、様々につくり出されたり生み出されたりする音や動き、ものの形、色、手触りなどは、子どもの気付きを促し、感覚の働きを豊かにする環境として重要です。

周囲の人(ママ、パパ、保育士など)は、この時期の子どもが受け止められる程度のほどよい複雑さをもった環境を用意することが求められる。

3. 周囲の人(ママ、パパ、保育士など)と一緒に様々な色彩や形のものや絵本などを見る。

この時期に周囲の人(ママ、パパ、保育士など)と一緒に絵本を見たりする場面は、基本的に一対一の関わりである。

周囲の人(ママ、パパ、保育士など)と一緒に絵本を見ることは、その絵や話の内容そのものだけでなく、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)のその子どもに対する愛情に基づいた願いや気遣いなどを、子どもが絵本の世界と一体的に受け止める経験でもある。

気持ちが不安定な時に、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)の膝に乗せてもらい、落ち着いた優しい声とともに絵本に触れ、不安を受け止めてもらうことで、子どもの気持ちは安定していきます。

また、別の時には、同じ絵本でも、一緒に色や形などを楽しみながらその感覚の世界に浸り、自らの感覚を研ぎ澄ましていくこともある。

絵本の中に身の回りのものを見付けて、絵本のイメージの世界と日常の世界を行ったり来たりする経験は、ふりや見立てを楽しむその後の象徴遊びにもつながっていく。

幼児を育てる環境を作ることについては、一人一人の子どもの発達過程や興味を考慮した絵本やものなどを選ぶよう心がけたい

4. 玩具や身の回りのものを、つまむ、つかむ、たたく、引っ張るなど、手や指を使って遊ぶ。

子どもは身の回りのものに「触ってみたい」と向かっていき、うまくつかんだり落としたりなど様々な経験を重ねながら、手指の操作が次第にうまくなっていきます。

積み木などを見付けるとそれに手を伸ばし、次第に両手に持って打ち付けたりたたき合わせたりするようになります。

また、手のひら全体でものを包み込むように握る状態から、全ての指で握る状態を経て、乳児期の終わり頃には、親指と他の指を向かい合わせて握る状態へと変わってきます

そして、手指を使い身の回りのものを引っかいたり、つまんだり、握ったりする中で、様々に変化するものの面白さに気付き、ものに働きかけ、じっくりと関わる喜びを経験します。

このような遊びの中で行われる周囲の人(ママ、パパ、保育士など)の言葉がけは、感覚的な理解と言葉による理解の橋渡しをするものとなる。

手や指を使っておもちゃなどでじっくりと遊び込むことを通して、子どもは具体的な対象を介して人とやり取りをしたり、試行錯誤を重ねたりする経験をしていきます。

周囲の人(ママ、パパ、保育士など)は、一人一人の子どもの発達過程や興味、関心を理解し、それに沿って子どもの探索活動が盛んになるような環境作りに心がけ遊びをどのように発展させていくかを考えることが重要である。

幼児の遊ぶおもちゃ

5. 周囲の人(ママ、パパ、保育士など)のあやし遊びに機嫌よく応じたり、歌やリズムに合わせて手足や体を動かして楽しんだりする。

子どもは、あやし遊びを通して、周囲の人(ママ、パパ、保育士など)による表情豊かな関わりの中で、心地よい気持ちのやり取りを楽しみます。

その心地よさを体全体で表すようになり、体や手足が動くことの喜びを体験します。

よく動く手足や体は、自らの求めていることを自らの行きで充足すことができるという意味で、自立の基礎でもあるんです。

活発に体を動かす経験を十分にすることは、体や手足がある程度思いのままに動くことへの喜びを伴うものであり、それは1、2歳頃の「自分でしようとする意欲」につながるものです。

周囲の人(ママ、パパ、保育士など)の歌やリズムに合わせて、体を動かすことを楽しみ、近くで同じ動作をする他の子どもと共鳴し合って楽しさを分かち合うことは、自分の気持ちを他の子どもに伝えようとすることへとつながる経験とにもなります。

このように、体をよく動かすことは、子どもが人と関わり合うことや自分を表現することとも密接に関連しています。

自分の意思でよく動く体は、生活や遊びの中で、寝返り、腹ばい、はいはい、つたい歩き、立つなどの基本的な運動機能を身に付けることと並行して育っていきます。

乳児が機嫌よく一人遊びしている

絵本の重要性

「絵本」が身近なものとの関わりを通じて、乳児の感性が育つということでは、絵本の重要性は言うまでもないことですが、当「保育所保育指針」でも上記の中では以下の部分に「絵本」の記述がある。近々、「絵本」に焦点を当てて記事をアップしたいと思います。

精神的発達に関する視点「身近なものと関わり感性が育つ

1 身近な生活用具、玩具や絵本などが用意された中で、身の回りのものに対する興味や好奇心をもつ。

3 周囲の人(ママ、パパ、保育士など)と一緒に様々な色彩や形のものや絵本などを見る。

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